マネジメント契約:署名する前に読むべき条項
マネジメント契約は、誰があなたのキャリアの窓口になるのか、何を代わりに署名できるのか、収入のどれだけを取るのか、そして契約が終わった後も何を受け取り続けるのかを決めます。この記事では、各条項の意味、公開されているガイドが示す目安、危険信号、そしてオンラインで記入して署名できるひな形を紹介します。
この記事は一般的な情報であり、法的アドバイスではありません。マネジメント契約のルールは国ごとに異なり、アーティストの代理人になれる人を法律で定めている地域もあります。ご自身のケースについては、お住まいの地域の弁護士に相談してください。
マネジメント契約とは
マネジメント契約(アーティストマネジメント契約、マネジメント・アグリーメントとも)は、アーティストやバンドとマネージャーとの間で結ぶ取り決めです。マネージャーがキャリアのために何をするか、アーティストに代わって何を決めたり署名したりできるか、報酬はどう支払われるか、期間はどれくらいか、終わるときはどうなるかを定めます。ブッキングエージェントとの契約(エージェントはライブを売り込み、1本ごとに手数料を受け取ります)とも、レコード契約とも違います。マネージャーがあなたの曲や録音の権利を持つことはありません。マネージャーをいつ探し、どう声をかけるかはアーティストのマネージャーの見つけ方をご覧ください。
条項を一つずつ
| 条項 | 書かれていること | 求めておきたいこと |
|---|---|---|
| 独占性と対象範囲 | この人だけがマネージャーなのか、どの活動を担当するのか(音楽、演技、ブランド案件、コンテンツ)。 | 本業、講師の仕事、他の人のためのプロデュースなど、マネージャーが関わらない活動は対象から外す。 |
| 対象地域 | どこでマネジメントするか。1つの国か、世界全体か。 | 実際に人脈のある地域だけにする。海外のマネージャーを起用する場合、その人の報酬はマネージャーのコミッションの中から払い、上乗せにはしない。 |
| 期間 | 契約がどれくらい続くか、更新されるか。 | 固定の期間に、成果に連動したオプション(たとえばレコード契約や出版契約が決まった場合だけ延長)をつける。自動更新はなし。 |
| 試用期間 | 最初の一定期間。この間はどちらも短い予告で抜けられる。 | 本契約に入る前に、一緒に働けるかを見極められる数か月。 |
| コミッション | マネージャーが取る収入の割合。 | 割合そのものより、何の割合なのか(下記)。 |
| 対象外の収入と控除 | コミッションの対象にならないお金、またはコミッションの計算前に差し引く費用。 | 録音・映像の予算、ツアーサポート、会場費と前座、できれば音響・照明も。 |
| 経費 | マネージャーの費用のうち、どれを負担するか。 | キャリアのための費用だけ。月ごとの上限を決め、一定額を超えるときは本人の承認を必要とする。 |
| 署名の権限 | マネージャーが代わりに署名・承諾できること。 | 長期のものや一定額を超えるものは、書面での承諾なしにはできない。レコード、出版、ブランドの契約は本人が署名する。 |
| お金と会計 | 誰がお金を受け取るか、計算書をどれくらいの頻度で受け取るか、帳簿を確認できるか。 | 月次または四半期ごとの計算書、本人のお金専用の口座、監査の権利。 |
| キーパーソン | 特定のマネージャーがいるから会社と契約した場合、その人が辞めたらどうなるか。 | 担当マネージャーが会社を離れたら、契約を終わらせる(またはその人についていく)権利。 |
| 利益相反 | マネージャーが、あなたと取引するレーベル、出版社、会場を持っているか。 | 書面で知らせてもらうこと。自分の会社から支払われるお金には、コミッションを取らないこと。 |
| 契約終了後のコミッション(サンセット) | 契約が終わった後も、マネージャーが受け取り続けるもの。 | 契約期間中の仕事に限り、割合は段階的にゼロまで下がる。 |
| 解約 | どちらが、どれくらいの予告で、どんな理由で終わらせられるか。 | 報告がない、お金を渡さない、合意した目標に届かない場合に終わらせられる権利。 |
期間については、公開されているガイドも近い数字を挙げています。Arts Law Centre of Australia のファクトシート(2024年)は、固定期間の例として3〜4年を挙げています。また、音楽専門の弁護士が書いた Leeds Conservatoire のガイド(2020年11月5日)によれば、英国では最初の期間は通常3〜5年で、その後は自動継続となり、3か月前の予告で終わらせることが多いとされています。長い期間そのものが悪いわけではありません。問題なのは、目標もなく、抜ける道もない長い期間です。
コミッションの計算のしかた
同じ2つのガイドは、一般的なコミッションを総収入の10〜20%(Arts Law Centre、2024年)とし、英国では20%が業界の標準だとしています(Leeds Conservatoire、2020年)。ライブ収入は、公演の費用を引いた純額で計算されることも多いとのことです。割合よりも、それが何にかかるのかが重要です。架空の数字で例を見てみましょう。
| 1本のライブ | 総額にコミッション | 合意した控除後にコミッション |
|---|---|---|
| プロモーターから支払われる出演料 | 4,000 | 4,000 |
| 前座、音響・照明 | 差し引かない | −1,000 |
| コミッションの基準額 | 4,000 | 3,000 |
| マネージャー(20%) | 800 | 600 |
割合は同じでも、1本のライブで200の差が出ます。だからこそ、パーセンテージよりも「総収入」の定義と控除の一覧に注意を払う価値があります。また、スタジオ代に使う録音予算のように、あなたを通過するだけのお金にコミッションがかかっていないかも確認しましょう。かかるべきではありません。
サンセット条項
サンセット条項(契約終了後のコミッション、「トレーリング」コミッション)は、契約期間中に築いたもの、つまり書いた曲、リリースした作品、ブッキングしたライブから、契約終了後もマネージャーが収入を得続けられるようにするものです。マネージャーは何年も投資してきたので、それ自体は普通のことですが、時間とともに小さくなり、いずれ終わるべきです。公開されている例を2つ挙げます。
- Arts Law Centre of Australia(2024年):契約終了後の1年目は15%(20%から引き下げ)、2年目は10%、3年目は5%。
- Leeds Conservatoire(2020年):契約終了後の5年間は満額、その後の5年間は半分、それ以降はなし。
満額のまま永久に続くサンセット、または契約期間中に行ったことだけでなく、契約後にあなたが行うことすべてに及ぶサンセットには注意してください。
危険信号
- すべてにコミッション、しかも永久に:対象外の収入も控除もなく、サンセットにも終わりがない。
- 無制限の代理権:マネージャーがあなたに代わってレコード、出版、ブランドの契約を結べる。
- マネージャーがすべてのお金を受け取るのに、計算書の日付も監査の権利もない。
- マネージャー自身のレーベルや出版社があなたと契約し、その契約からもコミッションを取る。
- 自動更新で、目標に届かなくても抜ける方法がない。
- 「今日中に署名を」と急かされる。信頼できるマネージャーなら、信頼できる人と一緒に読めるよう数日待ってくれます。
契約を終わらせるには
必要になる前に、解約条項を読んでおきましょう。たいていは、期間が満了したとき、試用期間が終わったとき、目標やキーパーソン条項の条件に該当したとき、またはマネージャーが契約に違反し(報告しない、お金を渡さないなど)、予告期間内に是正しないときに終わらせられます。通知は書面で行い、控えを残してください。そして、終了後もサンセット条項は続くことを忘れないでください。揉めそうなときは、支払いを止める前に弁護士に相談しましょう。音楽弁護士は必要?もご覧ください。
ひな形と確認
マネージャーと一緒に契約書をつくるなら、白紙からではなく、ひな形から始めましょう。TONTRIA Lawには、上記の条項を盛り込んだマネジメント契約書のひな形があります(英語またはスペイン語)。専属の指名、マネージャーが行うこと・代わりに署名できないこと、試用期間と目標つきの期間、合意した控除を引いた総収入へのコミッション、対象外の収入、上限つきの経費、報告、利益相反、サンセット、解約を含みます。数字を入れ、契約内容に合わせて各条項を調整し、オンライン署名に送るだけです。ひな形から始める場合、クレジットは消費しません。
マネージャーから契約書が送られてきたなら、TONTRIA Lawにアップロードして最初の確認に使えます。期間、割合、リスクのある条項に印をつけ、原文を引用して、変更案を提案します。数年にわたる契約では、その確認結果を音楽専門の弁護士にも持っていってください。音楽のキャリアで結ぶそのほかの契約は、アーティストが結ぶ音楽契約にまとめています。