レーベルの立ち上げ方 2026:ステップで解説
レーベルを作るのは簡単です。大変なのは、アーティストに信頼され、リリースを予定どおり出し、全員にきちんと分配すること。このガイドでは、その両方を扱います。
いまのレーベルは、パソコン1台、ディストリビューターのアカウント、アーティスト3組という一人運営でも始められます。インディーズレーベルの作り方そのもののハードルは低く、ただのリリースの寄せ集めとレーベルを分けるのは、契約、データ、お金、プロモーションを、リリースのたびにどう扱うかです。
法律、税金、著作権の管理団体は国によって異なります。この記事は地図として使い、署名の前に、現地の弁護士と会計士に細かい点を確認してください。
1. どんなレーベルになるかを決める
アーティストが一人でリリースするだけでは得られないものを、あなたのレーベルが何を提供できるのか、一段落で書き出しましょう。よくある答えは次のとおりです。
- シーンやサウンド:ファンやプレイリストの担当者がひと目で分かる、キュレーションされた個性。
- 先行する資金:レコーディング、映像、プロモーションの費用を出し、収益の一部を受け取る。
- やりたくない作業の代行:リリース運営、売り込み、コンテンツ、プレス、経理。
- リーチ:メディア、会場、キュレーター、あるいは他の国の市場とのつながり。
この一段落が、どんな契約を提案するか、何組のアーティストを支えられるか、いくら必要かを決めます。 この一段落は、あなたの事業計画書の最初の一行にもなります。
2. 事業の土台をつくる
- 個人の財布とは別の法人:契約や責任をレーベルが負うようにします。
- 事業用の銀行口座と、すべての収入と支出をアーティストごと、リリースごとに記録する簡単な仕組み。
- 使って問題のない名前:決める前に、商標の登録情報とストリーミングサービスで検索します。
- 権利者としての登録:お住まいの国で原盤について適用される管理団体に登録します(第5節を参照)。
3. アーティスト契約と分配
署名済みの契約なしに曲をリリースしてはいけません。友人でも、むしろ友人だからこそです。よくあるモデルは次のとおりです。
| モデル | しくみ | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 印税契約 | レーベルが原盤を所有または管理し、アーティストに一定の割合を支払う | 録音とプロモーションに投資するレーベル |
| 純利益の分配 | 収入から合意した費用を引いた額を、割合で分ける | アーティストとリスクを分け合う小規模レーベル |
| ライセンス | アーティストが原盤を持ち、一定の期間と地域でレーベルに許諾する | 所有権を手元に残したいアーティスト |
| 配信・サービス契約 | レーベルが手数料や小さめの分配率でサービスを提供する | すでにチームがいるアーティスト |
どのモデルでも、契約書には、期間、地域、原盤の所有者、回収できる費用、分配率、精算書を出す頻度、契約が終わったときの扱いを書いておきます。曲ごとに、作家と割合の合計が100%になるスプリットシートを、リリースの後ではなく前に集めましょう。
4. 配信、コード、メタデータ
- ディストリビューター:手数料または取り分、入金までの期間、レーベル向け機能(複数アーティスト、チームのアクセス権)、レポートの細かさ、サポートを比べます。
- コード:録音ごとにISRC、リリースごとにUPC/EANを用意します。一覧表を作って管理しましょう。お金はコードをたどって届きます。
- メタデータ:アーティスト名の正確な表記、フィーチャリング、作家、プロデューサー、ジャンル、言語、エクスプリシット表示、リリース日を、どこでも同じにします。
- 余裕を持った入稿:サービスや編集担当者の目に留まるよう、リリースの数週間前に納品します。リリース計画チェックリストもご覧ください。
5. 出版権と隣接権
1曲の収益は2つの層に分かれます。録音(原盤。通常はレーベル側)と楽曲(作家とその出版社)です。録音は、ラジオ、テレビ、店舗などで流れたときに隣接権の収益も生み、多くの国では管理団体が徴収します。リリースごとに両方へ登録されていることを確認してください。そうしないと、お金は誰にも請求されないまま残ります。出版社としても動きたい場合は、別の仕事で、別の登録が必要です。TONTRIA for Publishersをご覧ください。
6. 印税と精算書
信頼は精算書でつくられます。期間(毎月、四半期、半年ごと)を決め、アーティストごとに、リリース、トラック、プラットフォーム、地域別の収入、回収した費用、残高を示します。計算は、そのたびに別のスプレッドシートで手作業をするのではなく、ディストリビューターのデータをもとに行います。精算書の遅れや分かりにくさは、アーティストがレーベルを離れる最も多い理由です。
7. リリースごとのプロモーション
レーベルがアーティストに約束するのは注目です。1曲だけの大きな計画より、シングルごとに繰り返せる計画のほうが効果があります。
- リリース前の4〜6週間のコンテンツ:スタジオの様子、リハーサル、MVのティザー。
- プラットフォームが対応していれば編集部への推薦、そしてプリセーブ用のリンク。
- リリース当日の素材:ストーリーズやフィード向けのジャケットを使った投稿、Spotify Canvas、歌詞動画。
- リリース後の2〜4週間は、MV、ライブ、インタビューから作るショート動画。
- 過去作品:リリースの合間に、昔の曲から新しいクリップを作る。
これらのコンテンツの大半は、手元にある素材から作れます。それを担うのがTONTRIA Clipsで、レーベルと複数アーティスト向けのプランもあります。
8. 必要なツール
| 仕事 | 見るべき点 |
|---|---|
| 所属アーティストとリリース | アーティスト、リリース、収録曲、クレジット、コード、日付、素材を1か所にまとめられる |
| リリース計画 | リリースごとに、担当者と期限つきのチェックリストがある |
| 契約と分配 | 条件、期限、合計100%になる分配率を管理できる |
| 印税 | ディストリビューターのレポートをもとに、アーティスト、期間、リリース、地域別の精算書を計算できる |
| コンテンツ | シングルごとのクリップ、歌詞動画、リリース素材 |
| 未発表の音源 | バージョンとコメントつきの非公開リンクで、デモや原盤を共有できる |
最初はスプレッドシートで十分です。ただ、アーティストが数組を超えたら、1つの共有ワークスペースがあれば、誰かの受信箱にしかない「正しい情報」を避けられます。そのために作ったのがTONTRIA for Labelsで、未発表の音源にはTONTRIA Studioを組み合わせます。
9. 新しいレーベルがつまずく失敗
- 署名済みの契約やスプリットシートなしでリリースする。
- 支えきれない数のアーティストと契約する。きちんと向き合う3組は、放置された15組に勝ります。
- メタデータの不備で、再生数や印税が違う宛先に届く。
- 精算書の遅れ。金額が小さくてもアーティストは許してくれますが、連絡がないことは許してくれません。
- リリース当日だけ宣伝し、1週間後には静かになる。
10. レーベルの事業計画書(1ページ)テンプレート
銀行、投資家、助成金の窓口は、たいてい事業計画書を求めます。誰にも求められなくても、書いておけば、アーティストと契約する前に、ここまでの判断を文章にして整理できます。立ち上げたばかりのレーベルなら、1ページで十分です。次のテンプレートをコピーして、各行を埋めてください。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 概要 | 第1節で書いた一段落:レーベルがアーティストに何を提供するか、サウンドやシーン、リスナーがいる場所 |
| 所属アーティストとリリース | 最初の12か月に一緒に動くアーティストと、それぞれが出すシングル、EP、アルバムの数。予定日も仮で入れる |
| 契約 | 第3節のうち提案するモデル、分配率、回収できる費用の範囲 |
| リスナーと市場 | 誰が聴いているか、どの国や都市か、どのプラットフォームが重要か |
| プロモーション | 第7節の、リリースごとに繰り返せる計画と、シングル1曲あたりの予算 |
| 体制と運営 | A&R、リリースの納品、コンテンツ、プレス、精算書を誰が担当し、何を外注するか |
| 配信と権利 | ディストリビューターと、原盤、出版もする場合は楽曲について登録する管理団体 |
| 12か月の予算 | レコーディング、ミックス、マスタリング、ジャケット、映像とコンテンツ、広告、配信手数料、法務と経理、ツール |
| 収入源 | ストリーミング、ダウンロード、フィジカル販売、隣接権、シンクロ。ライブやグッズは契約に含める場合のみ |
| マイルストーン | 3か月後、6か月後、12か月後に何が実現しているか:期限どおりのリリース、精算書の送付、次の契約 |
数字は正直に。予算はリリースごとに積み上げ、収入は願望ではなく、アーティストの現在の再生数から見積もります。ストリーミングサービスは一定の単価ではなく、全体の再生数に占める割合に応じて支払います(Spotifyは1再生いくらかを参照)。控えめな見込みと標準の見込みの2通りを書き、収入が費用に追いつくまで何か月レーベルを続けられるかも示しましょう。
四半期ごとに、実際の精算書と照らして計画を見直します。同じ行で何度も外れるなら、アーティストを増やす前に計画を直してください。